【気まぐれ校長の独り言:Vol.1】

『S君への手紙!』

前略、その後、お元気でしたか。  新年度が始まりましたが、始業式ではいきなり驚かせてしまってすみません。  去年の夏に、大阪市立高等学校オーストラリア派遣団で、一緒にメルボルンに行ったあの時の団長が、まさか君の学校の校長でやってくるなんて思ってもいませんでしたよね。
私もびっくりしました。始業式の挨拶で舞台に立った私は、目が合わないようにうつむき加減でいた君をすぐに見つけました。出席番号の関係でしょうか、西高校でも女子に囲まれた君は、相変わらず優しそうで少しシャイな好青年に見えました。  去年のちょうどこの時期に、オーストラリア派遣団の選考試験に合格した君は、派遣団で男子生徒が一人であることを苦にもせず、とても自然に振舞っていましたね。通訳を兼ねて同行してくれた扇町総合高校の赤嶺先生も女性であり、総勢14人の派遣団で男性は君と私の二人だけだと気合を入れていたのは団長の私だけでした。男前ですべての人に優しい君は派遣生徒全員から頼りにされる人気者でした。ヒールズビルズ高校でのホームステイ先でバディーと仲良くなり、楽しそうにオーストラリアを満喫する君たちの笑顔を私はずっと忘れないでしょう。最後の日に、地図だけを頼りに行ったメルボルン市街の一日自由散策では、心配でホテルの玄関で待っていた私に「もう少し時間ありますよね。あっちにも行ってみます」と声をかけ、美味そうなアイスクリームを片手にメルボルンの美しい街に消えた君の姿がとても印象に残っています。  また、去年は初めてヒールズビルズ高校のみんなが日本にやってきましたね。当時の勤務校であった泉尾工業高校では、オーストラリアの高校生に日本の工業高校の素晴らしさを伝えようとオール泉尾工業で様々な「おもてなし」を企画しました。ファッション工学科では機織の実習や着物の着付けを行ったり、電気科では電気工事の配線を教えたりもしました。そうそう、機械科では『からくり人形』の仕組みを解説し木工機械でパズルも作ってもらいました。昼休みには、写真部が文化祭に向けて製作中の茶室でお点前を披露しました。でも、彼らが一番喜んだのは、君たちとの再会でしたね。メルボルンと大阪の高校生たちは、私が用意したお菓子を食べるのも忘れて、再び日本で会えたことを思いっきり喜んでくれました。君もみんなからハグされていましたね。オーストラリアに出発したときと比べると、随分と様になっていましたよ。  じつは、あの頃から私には少しの予感と大きな期待がありました。始業式でも話しましたが、泉尾工業高校を転勤するとは思っていなかったのですが、次に赴任したいと強く思っていた学校が、君の通う西高校だったのです。 大正10年に西区商業学校として開校した創立94年を迎える伝統校であることも、北堀江のお洒落で落ち着いた街並みに溶け込んだ素敵なキャンパスであることも、英語科(普通科系)・流通経済科(商業系)・情報科学科(工業系)という他校にはない総合的なカリキュラムをもつことも、すべてが魅力的な西高校に第24代校長として赴任することができました。そして、約1ヶ月が過ぎ、何よりも君をはじめとする素敵な生徒たちに出会えたよろこびを感じています。 卒業まであと1年ですが、一緒に頑張りましょう。そして西高ライフをエンジョイしましょう! これからも、よろしく!!

                               

追伸:たまには、校長室に遊びに来て西高のことを教えてください。そして、あの時の派遣メンバーに 会うことがあれば、団長は西高で頑張っていると伝えてください。


【気まぐれ校長の独り言:Vol.2】

『求む!きまぐれサポーター ~もうひとつの西高90年~』

西高校同窓会には東京支部があります。今年も大手町産経プラザで総会と懇親会が開かれ、気まぐれ校長もご招待を受けました。折角のプライベートな上京だからと家人にお願いして、前日の土曜日から東京に乗り込みました(「乗り込む」と言ってしまうあたりが、「関ヶ原で負けなければ」という関西人のこだわりなのかもしれません)。この前泊が失敗でした。午後7時すぎにホテルに到着し、晩飯でも食べに行こうと着替えを済ませてタバコに火をつけたその時、天井から何やらコトコトと音が聞こえてきます。「上の階は何を暴れているんだ」と思った次の瞬間、部屋全体が大きく左右に揺れ出しました。立っていることができないほどの大きな揺れは、このままホテルが倒れるまで続くのではないかと思えるほど長く、その後はNHKの地震速報に釘付けとなりました。テレビでは「電車もエレベータも止まっている」と伝えていました。  地震の影響もあり、昨日は東京まで来てコンビニ弁当と缶ビールという寂しい夕食に終わった気まぐれ校長でしたが、翌日、会場に到着すると「校長先生が、参加者で一番お若いですわよ」とか「素敵な校長先生に西高校に来ていただいて(決して酔っぱらってはおられません)」と褒めていただき、すっかりイイ気分にしていただきました。しかも皆さんのおしゃべりは、標準語ではなくきれいな大阪言葉であり、OBの皆様は本当に上品な方が多いと感じました。この校風は現在の生徒にも見られ、「現役世代も皆様と同様に真面目で誠実な生徒がたくさんいます」と報告しました。  そんな楽しいひと時も残り30分になり、トイレに向かった時です。廊下で「西高校の方ですか。僕も西高校出身なんです」と一人の青年が声をかけてきました。まさか、東京で西高の関係者かと聞かれるなんて考えられないと思った気まぐれ校長は、「都立西高校(本校と同じ?トップクラスの有名校)じゃないよ。大阪の西高校ですよ」と確認しました。「はい、間違いないです。僕は英語科を卒業し、大学時代には教育実習にも行かせていただきました。今、東京で就職して。今日は1階のビアガーデンで友人と飲んでいると懐かしい学校名の案内を見たので・・・」というではありませんか。トイレを我慢してその青年を会場へエスコートし、「皆さん、新しい卒業生をゲットしました」と大きな声で紹介しました。その後、青年は大先輩に取り囲まれ、最後の記念撮影では照れながらも前列で写っていました。  西高校の同窓生の皆さんは、とても気持ちのいい方が多いです。深く母校を愛し、後輩を応援し、そして旧交を温める。今回は、東京支部のお話をしましたが、実はその1週間前には、同窓会の創立90周年記念パーティーがホテル阪神で盛大に開催されました。参加者は150名あまりで、とても爽やかな楽しい宴席でした。オープニングセレモニーには、今年も全国大会の出場をめざして頑張っているダンス部の生徒が招待されました。また、全校生徒に校章の刺繍の入った同窓会90周年記念ハンドタオルをいただき、学校にはテントや視聴覚機器、トレーニング器具などをプレゼントしていただきました。  気まぐれ校長にとって、最も大切なサポーターの皆様がここにおられます。東京にも、また一人増えたかもしれません。応援団である同窓会に感謝し、今回の独り言を閉じたいと思います。ありがとうございました。

  追記:前回の『S君への手紙!』から約40日が過ぎました。この間、西高校ではテニス部のダブルスが強豪私立高校の壁を破りインターハイ出場を決めたり、姉妹校であるパークデール高校への派遣メンバーが決定し保護者説明会を開いたり、様々な進路行事も開催しました。そして先週の金曜日(6/5)には生徒全員が青春を謳歌する素敵な体育祭がありました。「独り言をつぶやくのは、そこでしょ!」という多くの声も聞こえてきそうですが、それらの記事はトップページからご覧ください。


【気まぐれ校長の独り言:Vol.3】

『梅雨空にも負けない、都会派の西高校へ!』

 突然の雨模様で空を眺めていた二人の男子生徒に「校長室の置き傘を貸そうか」と声をかけました。「大丈夫です。地下鉄の駅までほんの2~3分のことですから」と一本の小さな折りたたみ傘(気まぐれ校長が差したら体がはみ出しそうな小振りの傘)に二人は肩を寄せ合うようにしながら玄関を出て行きました。もしも駅まで遠い学校であれば、生徒の難儀を見逃して、なんて冷たい校長だと思われるでしょう。でも、西高校は本当に駅近なのです。だから、わざわざ校長から傘を借りるという面倒なことをしなくても、チッチャイ・チッチャイ傘一本で走ったほうが楽なのです(決して校長が気の利かないボンクラなわけではありません)。いつも校長を支えてくれている「気配り教頭」によれば、駅から3分という西高校のアクセスは、多くの方々に好評なようです。それ以外にも西高校のキャンパスにはたくさんの魅力があり、教頭先生によれば「お洒落な校舎と広いグランド、中央図書館や緑豊かな公園が目の前にあるという抜群のキャンパス環境」なのだそうです。気まぐれ校長も納得の恵まれた環境と各学科の特色を簡単な学校紹介メッセージとして次のようにまとめてみました。

○大阪市立西高等学校
地下鉄西長堀駅から5分で教室に着く西高校は、堀江のお洒落な街に立地する都会派の高校です。
●英語科では、英語力はもとより、様々な国・地域の理解に努め、コミュニケーション能力を活かして活躍できる人材を育成します。
●流通経済科では、実践的授業・体験学習・資格取得を通じて、世界のビジネスシーンでリーダーシップを発揮するグローバルな人材育成を図ります。
●情報科学科では、ハードウェアとプログラミングなどのソフトウェアの学習により、自ら創造し行動する力を養います。
●3学科とも、多くの生徒が普通教科と専門教科の二つの力を身につけ、大学進学をめざしています。

 さて、お洒落な都会派高校の西高校では、周囲の施設を利用して様々なイベントも行っています。毎年4月には、お隣の公園や土佐稲荷神社に咲く見事なサクラの鑑賞会を行います(教職員の有志によるお花見は、職場の雰囲気作りと士気を高める西高の恒例行事です)。また、この時期には吹奏楽部が休日にお花見コンサートを開いています。
 大阪市立中央図書館との連携も、今年は新たな企画として『中央図書館見学会』を6月19日(金)に実施しました。お向かいの建物ですから移動時間も短く、6時間授業日(週に2回は7時間)の放課後15:40に玄関前に集合し、15:50には図書館で説明を受けていました。当日は、各クラスの図書委員(生徒)と西高校図書館長・図書館司書、そしてお祭り好きの校長・教頭の総勢40名が参加しました。3班に分かれて、普段は見ることのできない地下の倉庫や貴重本の書庫など約1時間で様々な説明を受けました。気まぐれ校長の班はまず地下の書庫に案内していただき、本が大好きな生徒たちはおもわず「オ~」という歓声を上げ、目を爛々と輝かしていたのが印象的でした。ちなみに、まるで金庫のように厳重に施錠された貴重本の書庫で、一番興奮していたのは気まぐれ校長と気配り教頭だったと思います(日本に数冊という貴重な本は百万円以上のものもあり、白手袋で扱っておられました)。ご案内いただいた職員の方の中には、毎週、NHKのTV番組で新着図書の案内をされている方もおられ、とてもわかりやすく親切な対応をしていただきました。また、解散時には中央図書館の課長もお見えになり、これからも西高校と中央図書館の連携を深めようと約束しました。
 中学生の皆さん、こんな素敵な企画もできる西区堀江の本校に是非とも入学してください。体験入学や学校説明会の詳細はトップページから、個別のご相談や個人での学校訪問のご希望があれば、気配りの教頭先生に遠慮なくご連絡ください(℡ 06-6531-0505)。

 以上、『最後は、宣伝か~い』といわれそうな、今回の独り言でした。


【気まぐれ校長の独り言:Vol.4】

『ツクツクボウシの鳴く頃は?』

夏休みです。真面目な家人は、「夏休みは7月中が楽しくて、8月になれば2学期のことを思い、心からの開放感はなかった」と夏休みの思い出を語ります。気まぐれ校長は夏を満喫するワンパク小僧でしたから、8月29日頃までは「毎日が日曜日」とばかりに虫取り網と虫かごを手にキリギリスやクワガタ、オニヤンマの採集に明け暮れていました。そして、アブラゼミ(今は、都会のセミは『シャーシャーシャー』のクマゼミですが)の鳴き声がツクツクボウシに変わる頃、できていない夏休みの宿題を前に途方にくれ、母親にあきれられていました。さてさて、西高校の生徒の皆さんはどちらのタイプなのでしょうか。
 時代は変わり、授業時数の確保を最優先課題としてエアコンが教室に整備された大阪市の学校では、夏休みが短くなってしまいました。西高校でも2学期の始業式は8月25日です。この日は私がつたない式辞を述べ、その後、午前中授業を行う予定です。他校の校長先生の中には、早くから2学期が始まることを自慢げに話される真面目な校長先生もおられますが、気まぐれ校長としては、くどいようですが『ミ~ン、ミンミンミンミン、ミ~ン』のミンミンゼミは夏本番、やがて『カナカナカナ』のヒグラシの鳴く夕暮れに物悲しさを覚え、『ツクツクボ~シ、ツクツクボ~シ』の鳴き声で2学期が始まる現実を受け入れる、そんな季節感が懐かしい気がします。
 さて、随分と前のことのように感じますが、台風が接近し開催が危ぶまれた1学期の終業式では、生徒に行動経済学の話を紹介し、校長として『真面目が素敵な西高生』を実感していると告げました。そして、夏休みの西高校では、素敵な生徒たちがうだるような暑さの中で全力投球の夏を満喫しています。サッカー部の顧問の先生は英語の先生とは思えないほどに真っ黒に日に焼け、校舎の入口には学内で合宿を行った各部の貸布団が連日積み上げられています。西高校では、学外を含め多くの部が夏合宿を行います。この辛くて苦しい合宿は、終わってしまえば友人や先輩との語らいなど、高校生活の貴重な体験として素敵な思い出となります。今年は、予算の削減により教育後援会にも例年以上のご支援をいただきました。また、朝9時を過ぎると、問題集やプリントを抱えた先生方が、大学進学や検定試験のための補習授業に向かいます。先日も気まぐれ校長が廊下をフラフラ歩いていると、夏休みとは思えないくらい多くの生徒が勉強に汗を流していました。
 全力で夏を謳歌する『真面目が素敵な西高生』ですが、最後に野球部の話をします。過日、校長室の本棚を整理していると約30年前に10日間に渡って朝日新聞に掲載された記事をまとめた「あの日から 75-0の物語」という小冊子を見つけました。記事は、かつてはプロ野球選手を輩出した西商業高校野球部が、桑田・清原を擁するPL学園に二度にわたり大敗を喫し、そのショックから立ち直るまでをドキュメントタッチで記録したものです。西商業から西高校に変わった今でも、残念ながら野球部員は少なく、状況はあまり変わってはいません。そんな野球部が7月19日に万博球場で甲子園予選二回戦に挑みました(組み合わせの関係で西高は二回戦が初戦)。雨で試合開始が大幅に遅れ、やっと試合前のノック時間となりましたが、相手校に力的に及ばないことは一目瞭然です。気まぐれ校長も「これは5回コールドもあるな」と覚悟しました。しかし、いざ試合開始となると、攻撃では「見逃し三振だけはしないぞ」と思いっきりバットを振り、守備でも決してスマートではないが必死にグラブを出してアウトをとるなど、西高野球部は全力プレーで大いに粘ってくれました。この日は、メルボルンに留学する21名の生徒を見送るために関西空港へ行かなければならず、気まぐれ校長は結局5回表までしか彼らの勇姿を見ることができませんでした。しかし、N先生の育てた野球部は、応援していたすべての人に爽やかで感動的な一日をプレゼントしてくれたと思います。
 生徒たちの熱い夏も後半戦に入りました。教員生活の集大成だと意気込む気まぐれ校長は、夏休み中も『真面目が素敵な西高生』に魅了され、気がつけば赴任してわずか4ヶ月で西高校の熱烈なファンになっていました。

追記:8月5日にはスポーツニッポン紙のインターハイ特別号で『公立の星だ!!市立西』と紹介されたテニスの清水&大久保ペアーが、インターハイ本番で神奈川県の強豪校を破り2回戦に進出しました。残念ながら次の対戦でタイブレイクが続く大接戦の末、力尽きましたが、全国大会でも本当に頑張りました。また、水泳部でも男子400m自由形で1年生の男子生徒が大阪府予選・近畿大会を突破し、インターハイに出場しました。決して戦績を求める学校ではありませんが、いずれも素敵な西高生の快挙です。


【気まぐれ校長の独り言:Vol.5】

ドキュメンタリー:『修学旅行2015』

 9月の連休が終わり休み疲れの残る24日、10人の教員が学校から少し離れたミナミのお洒落なカフェに集合した。ちなみに校長の小西は、中学生への学校説明の時に西高が大阪で最もお洒落な堀江の街に位置することを強調する。確かに学校周辺には素敵なブティックやインテリアの店、お洒落なカフェやイタリアン、フレンチなどの飲食店が多く、都会のまん中に広い敷地をもつ西高は魅力的な高校である。
 仕事をいつもより早い時間に切り上げて6時すぎには職場を後にした10人は修学旅行の付添教員であった。今夜は3泊4日の鹿児島への旅行を引率した彼らの解散式である。ともすれば、声が大きく周囲のヒンシュクをかう教員の宴会であるが、お洒落な街に勤める西高教職員は周囲の雰囲気と学校のムードに合わせて上品で素敵な教員が多い。この日も、恋人同士が静かに愛を語らう店のムードに合わせて、おいしいお酒と料理を味わいながら楽しく充実した4日間を語り合っていた。団長であった小西はビールジョッキをハイボールに切り替え、少しの酔いを感じながら無事に鹿児島旅行を成功させたメンバーに心から感謝していた。
 今年、逼迫する財政事情は教員の出張経費にも大きな影を落とした。大幅な削減を迫られた小西は、様々な対策を講じたがそれだけでは足りず、ついに修学旅行の付添教員を減らすという苦渋の選択を行った。学年は、「校長の命令ならば仕方がない」と付添教員のシフトを見直し、担任外のメンバーは忙しくなることを覚悟した。また、一度は付添教員に加えられていた教員は、一言の文句も言わず出張命令のやり直しに同意した。職員会議でも反対意見はなく、小西は西高の教職員がもつ学校運営に協力する強い気持ちと苦境を跳ね返す高い能力に感動していた。そんな西高の修学旅行に新たな問題が生じたのだ。
 話は約1ヵ月半前にさかのぼる。8月15日(土)、テレビニュースは桜島周辺の噴火警戒レベルが4に引き上げられ、周辺住民には避難勧告が出されたことを告げていた。修学旅行の安全性について不安をもった小西はすぐに学年と旅行会社に連絡し、いくつかの指令を出した。一つは、1日目に訪れる垂水市が比較的桜島に近いことから、同地での体験学習・民泊を中止し、桜島から離れた場所で240名の生徒を宿泊させることができるホテルを確保すること。次に最終日の鹿児島市内観光を中止し、宿泊する霧島のホテルから空港へ向かう行程での観光に切り替えること。そして、変更に伴う保護者負担を増やさないことである。事務長には、生徒が加入する旅行保険に災害特約をつけた場合の補償内容と保護者負担の増減について旅行会社と交渉するように指示し、小西は鹿児島県や鹿児島市とメールによるやり取りを行った。事務方の「付添教員の旅費請求を教育委員会に待ってもらっている」という報告と、添乗担当者の「JR・飛行機・観光バスなどの交通機関や宿泊地のキャンセル期限が迫っている」という説明を受けた小西には、熟慮する余裕はなかった。行き先の変更か日程の変更、場合によっては修学旅行の全面的見直しという判断を迫られた彼は、その期限を8月19日(水)とした。
 その日、午前10時に校長室に集まった10人の会議は重苦しい雰囲気で始まった。まず、学年主任が桜島周辺の状況報告と旅程の変更を提案した。新たな旅程では、1日目の宿泊場所が垂水市の民泊から指宿のホテルに変更され、最終日の観光地も充実したものとなっていた。また、民泊ができないことは非常に残念だと言いながらも、指宿では通常の半額で砂蒸し風呂に入れるという新たな体験も盛り込まれた。さらに、災害特約保険は保護者の負担を増やさずに掛けることができそうだと事務長が告げた。小西には鹿児島県の観光課からメールだけではなく電話によるアドバイスもあり、桜島は比較的安定しており指宿・霧島は安全であることが報告されていた。会議を行う直前までは修学旅行の全面見直しを決意していた小西であったが、報告を受けるにしたがって気持ちが大きく揺れ動いた。要求した変更はすべてクリアされ、ある程度の安全も確認された。何よりも、非常事態を前に付添教員の人数を元に戻せという発想はなく、付添教員全員が一丸となって必ず旅行を成功させるという強い意思が感じられた。2時間余りの会議は最終結論を待つだけとなり、小西は鹿児島に旅立つことを決断した。
 2学期始業の日、学年集会を開き学年主任は保護者宛の文書を配布した。国語の教員である彼が記した文面は完璧だった。小西も「鹿児島は安全です。この文書を必ず保護者に見せてください。そして、説明を受けた内容を君たちが保護者に伝えてください。もしも君たちの説明で納得いかない保護者がおられたら、遠慮なく校長に連絡するように言ってください」と、生徒に語った。後日、連絡をしてきた保護者は誰もいなかった。
 生徒たちが「高校時代の最大の思い出」と語る修学旅行の成功は、このように出発前にすでに確約されていたわけである。

追記:今回の気まぐれ校長の独り言は、少し趣を変えてドキュメンタリータッチで修学旅行の裏側を紹介しました。多くの素敵な思い出を鹿児島から持ち帰った生徒たちは、現在は文化祭に向けて西高ライフをエンジョイしています。3階廊下の壁一面に貼り出された修学旅行のスナップ写真には、全体レクリエーションの表彰式で満面の笑みを浮かべた小太りの気まぐれ校長も写っています。長年、西高を担当してくれた旅行社の添乗員の方は「デスクワークが中心の仕事になっており、最後の修学旅行添乗は大好きな西高校と決めていました。最後に良い仕事ができました」と言ってくださいました。素敵な生徒と素晴らしいスタッフに恵まれ、気まぐれ校長の西高生活はまだまだ続いていきます。


【気まぐれ校長の独り言:Vol.6】

アトリウム in 2015

「9月に鹿児島(修学旅行)から帰阪した気まぐれ校長は、何処へ行ってしまったの?」と捜索願が出される前に独り言をつぶやかなければと思っていたのですが、2学期はめまぐるしく過ぎていき、カレンダーは師走になってしまいました。
 学校の様子を伝えるWebは、担当者の頑張りで情報発信を続け、文化祭・国際交流・進路行事など充実したページとなっています(是非ともトップページからご確認ください)。本来のWebの役割を果たしているのだから、気まぐれ校長が紙面の邪魔をしてはいけないと思いながら、2学期の終業式を前にしてやっぱりつぶやきたくなったので、少しだけお付き合いください。今回は、西高校のアトリウムについてお話をします。
 西高校には他の高校のようないかめしい正門はありません。膝ぐらいの高さの低いアルミの門扉を開けると、様々なオブジェとともに生徒たちが自由に語らう小さな前庭があり、続いて7階建のまるでホテルやマンションのような綺麗な校舎の入口になります。勿論、コンクリート壁ではなく壁面には制服のスカートとよく似た色のタイルが貼られ、入口は二重に設置された自動扉になっています。街の雰囲気に溶け込んだこのお洒落な校舎は、中学生の皆さんにも好評なようで、先日の学校説明会では中学生たちが正門から見た校舎を写メで撮影して帰って行きました。ちなみに、気配り教頭も洒落た校舎のシルエットがとても気に入っているようで、来客には必ず玄関を出たところで振り向いていただくようにしているようです。
 さて、校舎に入るとすぐに5階部分にまでつながる大きな吹き抜けがあり、西高校ではこの光溢れる空間をアトリウムと呼んでいます。天空に昇るような気持ちにさせてくれるこの吹き抜けは、正面に飾られた西商業時代の大きなケヤキの切り株とともに、西高校のシンボルとしてその存在感を示しています。そして、実はアトリウムにはもうひとつの大切な役割があるのです。
 吹き抜けの開放的なアトリウムは、生徒の表現活動の場として、四季折々の様々な表情に変ります。10月の文化祭ではミニステージとして利用され、2学期も終わりに近づく今の時期には、この空間を利用したイベントが目白押しです。エントランスホールは生徒会を担当する情報科学科のF先生の演出により七色のスポットライトに彩られ、アトリウムはお洒落な空間へと変化するのです。
 師走の最初のコンサートでは、音楽を選択した生徒たちが合唱とハンドベル演奏、そしてお琴を披露してくれました。毎年、授業の成果発表として行われるこのコンサートは、講師である音楽の先生の熱心なご指導によって企画・運営されています。この日の昼休みは、1階はもとより2階・3階・4階からも黄色い声援や大きな拍手が送られ、音楽室を飛び出した生徒たちは満足感いっぱいの素敵な笑顔を見せていました。
 音楽コンサートが終わると、続いて流通経済科3年生の販売実習のお店が開店しました。地元の九条商店街を教材にマーケティングや接客技術を学んだ生徒たちが、週末の商店街の販売実習に先立って、学内販売を行ったのです。西高アトリウム店はお洒落なカフェといった風情で、店の前には小さなテーブルとイスも用意され、「ちょっとのぞいてみようかな」とおもわず足を止める素敵な店舗になりました。アトリウムは、その後もダンス部・吹奏楽部・音楽部のコンサート会場となり、学校全体がX’masやお正月に向けた幸せな気分に満たされていきます。
 このように、エントランスホールにあるお洒落で素敵なアトリウムは、『真面目が素敵な西高生(本年度、西高スローガン)』だからこそ活かされる特別な空間です。そして、生徒たちが楽しく充実した学園生活を実感し、高校時代の大切な思い出を作るアトリウムは、他校の生徒ではまねのできない素敵な学校生活を送る西高生の最も大切な光り輝く場所なのです。

追記:久しぶりということもあり、今回は真面目な気まぐれ校長でした。真面目ついでに年末恒例の今年の漢字(気まぐれバージョン)を発表します。西高1年目の気まぐれ校長は今年の漢字を『発』としたいと思います。選んだ理由は、西高校の校長として『出発』の年であることと、西高校の更なる『発展』をめざし生徒とともに持てる力をすべて『発揮』するという決意を込めて決めました。 来年も西高校をよろしくお願いします。よいお年を!


【気まぐれ校長の独り言:Vol.7】

職員会議ってナニ!

 高等学校にも他の業種と同じように、業界の人間だけに通用する用語や常識があります。
例えば、生徒が授業をサボった場合、生活指導では『怠学(タイガク)行為』と呼び、多くの学校で特別指導となります(他校と同じように西高校でも校長訓告を行いますが、 おかげさまで平成27年度の怠学行為による校長からの指導は、いまだゼロ件です)。一般社会では「タイガクコウイ」 と聞くと当然『退学行為』の文字がイメージされるのですが、私たちの業界では『怠け学』が一般的なのです。
 同じように私たちが使う言葉に「今日は職員会議だから」というものがあります。この職員会議が、どのような会議で・何を決めているのか、皆さんにはとても謎のようです。テレビドラマ や映画の職員会議では、大抵、教頭先生が悪者としてあつかわれ、校長先生はとても善良な人として描かれています。残念ながら、実際の西高の教頭先生は、多くの先生方から頼りにされるナ イスガイであり、教頭とヒソヒソ話をして悪事を働く学年主任も、融通の利かない正義感だけの生活指導の先生も、本校には存在しません。時には生徒が職員会議に乱入するシーンもあります が、そんな場面に出会ったことはありません。
 月2回の定例会議を行う学校もたくさんありますが、真面目で素敵な生徒が多い西高校では、職員会議は月1回の開催となります。最近では、校長決済がすべてのように思われ、会議での議 論が形骸化してきたと危惧することもありますが、気まぐれ校長としては先生方の意見を聴ける大切な機会だと考えています。そんなわけで、今回は1月28日に行われた職員会議の内容を、特 別にWebでご紹介したいと思います。

【検討項目】
1 『平成28年度 入学者選抜について』(教務部)
 府教委の入試細目説明をうけて、西高の実施細目を配り、現段階での詳細説明と共通 理解を図
 りました(多くの受験生をお待ちしています)。
2 『平成27年度 送別会 実施要項について』(生徒指導部・生徒会係)
西高最大のイベントで、
 生徒と教員が最も大切にしている行事である卒業生送別会の 説明と質疑応答を行いました
(2/29は気まぐれ校長もとても楽しみにしています)。
3 『平成28年度 芸術鑑賞について』(図書視聴覚部)
来年は午前授業を行い、午後から会場に移動します。演劇を鑑賞しますが、内容
 はま だ教えられません(乞うご期待)。
【連絡報告事項】
1 『平成28年度 選択科目受講人数について』(教務部)
2 『2月以降の清掃場所について』(健康教育部)
3 その他  :「職員会議後に卒業式関係者会議を実施します」
4 管理職から:「安心してください?」

 このように、ドラマや映画のような派手さはありませんが、1月28日の職員会議も無事に終わ りました。今回の議案や連絡事項にも見られるように、西高校は3年生との別れとフレッシュな 受験生との出会いの時期を迎えようとしています。多忙な3学期は、2月になり、いよいよ卒業式・ 入学者選抜本番へのカウントダウンに入りました。

追記:1月末現在の推薦入試結果で、関西大学5人・立命館大学1人・大阪工業大学16人など素晴らしい進学実績をあげている情報科学科では、今年度、「がんばる先生支援・グループ研究」に 採用され、2台の3Dプリンタを導入しました。本校でその成果発表を1月28日に行いましたが(詳しくはトップページから)、本校よりも1年早く3Dプリンタを導入した泉尾工業高校(工業5 科を有する伝統校)の研究発表が、2日後に大阪市教育センターのフォーラムで行われました。その中で、機械科・科長のN先生が最後に話された言葉がとても印象に残ったので紹介します。
 「『遊び心』は、ものづくりを進化させる!」
 気まぐれ校長も、『遊び心』を失わずに、がんばります。


【気まぐれ校長の独り言:Vol.8】

『S君への手紙 再び!』

卒業、おめでとう。  西高校での3年間はどうでしたか。4月に再会し、わずかに1年間だったけれど、私はとても 楽しい毎日を過ごすことができました。それは、素晴らしい3年生たちに出会えたからだと思い ます。

 一昨年の夏に、大阪市立高等学校オーストラリア派遣団で一緒にメルボルンに行った君は、あ の時のままの優しそうで少しシャイな生徒でした。廊下ですれ違ったときに「元気か?」「あっ、 はい」という言葉を交わすぐらいで、お互いが決して以前からの知り合いであることを意識せず、 校長と生徒という適度な距離を保つ関係は、とても心地のよいものでした。ある時、担任の先生 に君の様子を聞いてみましたが、「Seiyaはとても真面目で素敵な生徒です。みんなに優しくて 勉強もがんばっています」と、褒めておられました。
 そう言えば、君の担任はとても素敵な先生でしたね。今年の英語科3年の担任は、2クラスと も新しい先生になり、君のクラスは1年前に卒業生を送り出し、2年続けて3年の担任を引き受 けてくれたK先生でした。女バス(女子バスケットボール部の略)の顧問もする彼女は、少し背 の高いお洒落な先生で、卒業式での彼女の涙に、君たちとの信頼関係がこの1年でしっかり築か れたことを感じました。また、K先生は校長の授業参観に自分のクラスを選んでくれました。10 月29日(木)の授業は、クラス全員の「担任に恥をかかせてはいけない」という思いが伝わる素 晴らしいもので、君たちは笑顔で授業に参加し、集中していました。そして、教える先生と教わ る生徒との絶妙の距離感がとても心地よく感じられる50分間でした。
 ちなみに、2組担任のR先生は、転勤してきた1年目に3年担任という考えられない過酷な仕 事を笑顔でこなした、とてもエレガントで生徒思いの先生でした。9月18日(金)の彼女のクラ ス(3年2組)の授業は、生徒たちが必死で授業についていこうとがんばっているレベルの高い ものでした。わかっているとは思いますが、二人を君たちの担任に指名したのは、残念ながら私 ではありません(前校長のクリーンヒットです)。
 授業といえば、体育の授業も参観しましたね。9月最初の水泳の授業は、4人のチームを作り メドレーリレーを行う授業でした。君は少し泳ぎが苦手なのか、チームメートが作ってくれたリー ドをあっという間に使い果たし、追いつかれてしまいましたね。でも、仲間はそんな君の泳ぎを 批判することなく、懸命に声援を送っていました。これこそが、西高校の素晴らしいところなの だと思います。がんばっている人の失敗を誹謗・中傷せず、結果よりもプロセスを大切にする君 たちの姿は、『真面目が素敵な西高生』(今年の校長スローガン)という言葉にふさわしい授業 への取り組みでした。
 3年間の学校生活を充実させてよく努力した君は、大学入試でも指定校推薦を勝ち取り名門大 学への進学を決めましたね。選んだ大学は、君の雰囲気に合ったステキな大学で、「いい大学に 決まってよかったね」と声をかけると、「そうですか。ありがとうございます」と、はにかんだ 笑顔をみせた君を私は忘れません。大学でも素敵なキャンパスライフを送ってください。

 卒業式の朝、3年生に最後の『おはよう』を伝えようと、いつもの時間に正門に立った私は、 思いがけず君の西高生・最後の朝に出会うことができました。「あっ!」と声を上げた君を見て、 「卒業、おめでとう」と握手をしたことが、校長として最も嬉しい瞬間でした。卒業後も、母校 に遊びに来てください。そのときは、気まぐれ校長室もノックしてくださいね。
 身体に気をつけて、君に幸多かれと祈っています。

 『君にあげたいものは
  香りのよい健康と
  かちとるにむずかしく
  はぐくむにむずかしい
  自分を愛する心だ』  卒業式式辞より、『奈々子に』(吉野弘作)抜粋

追記:3年生が卒業し、今、学校は新しい生徒を迎える準備に入りました。今年度の独り言』は今回が最後とさせていただきます。来年度も気まぐれ校長が『独り言』をつぶやきたくなるような、素敵な西高校でありますように・・・。
   1年間、ありがとうございました。

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大阪市立西高等学校
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Osaka City NISHI Senior Highschool
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